『苦海浄土』読書会のお知らせ

9月14日(土)に事務所にて、石牟礼道子著『苦海浄土』読書会を行います。

石牟礼さんは、東日本大震災後にNHKのETV特集『花を奉る 石牟礼道子の世界』という番組にもご出演されていました。

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本の帯から少し紹介させていただきます。

 

おるが刺身とる。かかは米とぐ海の水で。

沖のうつくしか潮で炊いた米の飯の、どげんうまかもんか、

あねさんあんた食うたことのあるかな。そりゃ、うもうござすばい、

ほんのり色のついて。かすかな潮の風味のして。

 

「天のくれらす魚」あふれる海が、豊かに人々を育んでいた幸福の地。しかしその地は、海に排出された汚染物質によって破壊し尽くされた。水俣を故郷として育ち、惨状を目の当たりにした著者は、中毒患者たちの苦しみや怒りを自らのものと預かり、「誰よりも自分自身に語り聞かせる、浄瑠璃のごときもの」として、傑出した文学作品に結晶させた。

 

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本の中からも少し、引用させていただきます。

 

死者たちはつねに生者たちの恥を、さしのべたうなじに鎖のようにからませながらもどってくる。渚につながれた舟たちのように。死者たちが耐えている恥の錘によってわれわれは生きのびる。ありとあらゆるデリカシィを自ら剥離することによってのみ生きられる。垂れ下った裸の神経だけになっているから、この世の風が痛くてならず、わたしは自分を埋葬しかけてみる。墓の中の胎児たちの力を借りて。

 

さらなる闇のこちらにあってわたくしのゆきたいところはどこか。この世ではなく、あの世でもなく、まして前世でもなく、もうひとつの、この世である。逃亡を許されなかった魂たちの呻吟するところにむかって、わたしは、自分に綱をつけてひっぱったり背中を押したたいたりして、ずるずるひきもどす。

この世ではないもうひとつのこの世とはどこであろうか。

 生まれたときから

 気ちがいでございました

ゆき女に仮託しておいた世界にむけて、いざり寄る。黒い死旗を立てて。

 

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『苦海浄土』読書会

■日時:9月14日(土)14:00~16:00

■場所:使い捨て時代を考える会 事務所

■参加費:カンパ制(茶菓子付き)

■お申込み&お問合せ:使い捨て時代を考える会 事務所(075-361-0222)まで

本はお持ちにならなくても、結構です。

読んだことのない方も、会員さん以外でも、どなたでも参加していただけます。